幼児教育者としての蓄積も教職の経験もなく、この道に入った私でしたが、これまで園長としてなんとかやってこられたのは、ひとえに皆様の温かいお心のおかげでした。
園児の現役の父親として、父親の目線で、幼児教育とは何かをこの9年間、考えて参りました。
といいますか、そこしか、長い教職経験または幼稚園経営をされてきた方々に勝てる部分はありませんでした。
現役の園児父親としての視点、これは一番ピュアな視点だと信じて参りましたので、逆にそれは私の園長としての誇りでもありました。
今、ここにいる子ども達のために必要な教育は何か。
いろんな幼稚園教育、保育所保育がありますが、今の幼児教育を見ていますと、「今ここにいる子どもに必要な教育」というスローガンはどの園も掲げておられていても、その保育、その活動は本当にその子に必要なのか、目的のためにその活動内容・活動の進め方は有効なのかということに関しては、首をかしげざるを得ない実情も見て参りました。
そういったことをできるだけ排除したいというのが、私の願いでもありました。
しかしながら、その信念を貫き通せたかということを顧みる時、忸怩たる部分もございますが、少なくとも信念が揺らぐことはいささかもございませんでした。
これだけは、皆様のお子様を預かってきた責任者として申し上げることができます。
私が幼児教育の場でやりたかったこと全てをやり尽くすことなく、皆様にお別れを申し上げなければならないことは誠に残念ではございますが、お近づきになれました全ての皆様に心から感謝申し上げたいと思います。
また、三年前に他界した父を支えてくださいました皆様にも、この場をお借りして御礼申し上げます。
激烈な性格の父でございました。
何度も反抗し、互いに対立をして参りました。
私が不惑を越えてから、父の胸ぐらを掴んだということもございました。
しかし、高潔な性格の持ち主でありましたし、懐の広い人間でもありました。
そういう父に育てられたからこそ、曲がりなりにも園長という職を務められたとも思っております。
その父が、全ての私財をなげうってまで支え続けたむらさき幼稚園を、不肖の息子が休園に追い込んでしまいましたこと、伏してお詫び申し上げます。
伊敷団地の皆様には、団地唯一の幼稚園、団地唯一の幼児教育の灯を消してしまうことに対してお詫びの言葉もございませんが、どうか、団地草分け期から皆様と共にありましたむらさき幼稚園を、皆様のお心にとどめて置いてくださいますよう、お願い申し上げます。
むらさき幼稚園は来年三月まで、伊敷団地の中央にございます。
私がこれまでに出会った中で最も信頼できる主任と職員達が、後一年頑張ります。
在園児保護者の皆様もむらさき幼稚園をそして先生達を心から信頼し、お子様を後一年預けてくださいます。
どうか温かい目で見守っていただき、最後までご支援を賜りますよう、心からお願いし申し上げます。
皆様、これまでありがとうございました。
それでは、ごきげんよう。さようなら。
平成23年3月31日(木)
むらさき幼稚園 園長 井手 聰
